妊娠中の浮腫は、ただのむくみと違う!?原因とレベル別解消法について

朝目が覚めると、顔と指がパンパン。夕方からは足の甲や足首までむくみだす。何とかしたい妊娠中の浮腫(ふしゅ)。妊娠前にやっていたむくみ解消法が効かない、なんてことも多いです。それには理由があります。

妊娠中の浮腫は、妊娠していないときのむくみと原因が違います。原因が違えば、解消法も変わってきます。今回は、妊娠中の浮腫について解説していきます。最後には、あなたがどれくらいむくんでいるかチェックできる「浮腫レベルチェック」と解消法についてもお話します。

1.妊娠と浮腫は切っても切れない関係
2.妊娠中の浮腫とただのむくみは、原因が違う
3.浮腫が及ぼす胎児と妊婦への影響
4.浮腫は体重増加につながるの?
5.悪化する時間帯
6.浮腫で薬を処方してもらえる?
7.あなたの浮腫レベルは?簡単浮腫チェック
8.【レベル別】妊娠中の浮腫の簡単解消法
9.まとめ

【足・手・指・顔】妊娠と浮腫は切っても切れない関係

妊娠後期に入って、ある日突然体がむくみ始める。特に足の甲や手の指、顔はパンパン。最初は、2時間~半日で治まっていた浮腫も気付けば丸1日むくんでいる。浮腫は、痛い痛いと顔をしかめるほどの痛みはありませんが、地味にしびれが続いたり皮膚の感覚がマヒしたり、体が急に重く感じたりして辛いですね。

妊娠中の浮腫は、便秘と同じくらい妊婦がよく悩まされる不快症状の一つ です。特に下半身(足の甲や足首、ふくらはぎ)に浮腫が出ることが多く、他にも横向きで寝ていたら下の手がむくんでしびれてしまった、なんてことも特徴の一つです。

妊娠中の浮腫は、妊娠してるがゆえ、どうしてもそうなってしまう理由があります。その理由について詳しく説明していきましょう。

妊娠中の浮腫とただのむくみは、原因が違う

むくみと言っても原因はいくつも考えられます。ただ妊娠中の浮腫は、原因を絞り込むことができます。その理由は、妊娠したことで体に起こる様々な変化が要因となっている からです。いつものむくみと妊娠中の浮腫、それぞれの原因を挙げていきます。

普通のむくみの原因

足がむくむ女性

めぐ先生

生活習慣や食事内容、運動不足、冷え、ストレス、ダイエットなどが原因として考えられます。

同じ体勢を取り続けると、体の中の水分が重力に引き寄せられ足に溜まってしまいます。普段から運動をしていたり、体調も万全だったり、血行も良いとふくらはぎの筋肉が重力に負けまい!と体の水分を上へ上へと押し上げます。こういったむくみは、筋肉の衰えからくるものです。

他にも塩分の多い食事を摂ると、体の塩分濃度が上がります。その塩分濃度を下げよう、塩分を薄めよう、と水分を余計に体に蓄える、つまり、水分がうまく体の外に排出されないことで起こるむくみもあります。

普通のむくみは、水をたくさん飲んでむくむというより筋肉の衰え、体の何かしらの濃度を下げるために、排出されるはずの水分をせっせと蓄えてしまっていることが原因になります。

妊娠中の浮腫の原因

妊娠中の足のむくみが気になる女性

妊娠中の浮腫はホルモンの変化や血液、リンパ液の流れが滞ることで起こります 。もちろん、筋肉の衰えも要因の一つになりますが、妊娠中はお腹の赤ちゃんのために変化していく体が浮腫を起こしやすくしてしまいます。

ホルモンの変化による浮腫

妊娠中は、黄体ホルモンが常に分泌されています。そもそも黄体ホルモンは妊娠していない時でも分泌されていますが、妊娠するとその分泌量は出産に向けて増えていきます。この黄体ホルモンは、胎児の成長を促し子宮の収縮を抑制するため、とても重要なホルモンです。

でもこの黄体ホルモン、体に水分をため込んでしまう作用もあるのです。妊娠初期からどんどん増えていく黄体ホルモン、妊娠後期に入ると水分を蓄えてしまう作用が顕著に体に現れてきます。

血液、リンパ液の流れが滞ることで起こる浮腫

妊娠後期のお腹

妊娠後期に入ると、日に日にお腹の赤ちゃんは大きくなります。それに伴い、子宮も大きくなり骨盤周りの血管やリンパ管を圧迫します。水分がほとんどを占める血液やリンパ液※の流れが悪くなると、足先までやってきた血液、リンパ液は骨盤あたりから心臓に戻れなくなります。停滞した血液やリンパ液は足に溜まっていき、浮腫を起こします

※リンパ液…血液と同じように、全身を通っているやや黄色い液体です。血液の中にある血漿と同じ液で、透明の管を通っています。

そして妊娠後期に入るとお腹の赤ちゃんに栄養を送るため、ママの血液が増えます。妊娠前と比べると、増える血液や水分の量は約2kg。体の中で他の水分とのバランスが崩れ始め、浮腫が起こってしまうこともあります

その他に浮腫を起こす原因

女性は男性より筋肉量が少なく、もともとむくみやすい体です。お腹が大きくなることで、運動も思うようにできなくなったり、同じ体勢が続いたりと妊娠中は浮腫になりやすい行動が多くなります

体を動かしているのに…、水分量にも気をつけているのに…、それでも浮腫が起きてしまうのは決してあなたのせいではありません。妊娠中はどうしても、浮腫が起こりやすくなることを忘れないでください。

妊娠中の浮腫が及ぼす胎児と妊婦への影響

では浮腫が起こることで、胎児やあなたに何か影響はあるのでしょうか?

胎児への影響

浮腫が胎児の成長を妨げたり、胎児の命に係わる影響を及ぼすことはありません。浮腫が起こると、あなたは足や指、顔に違和感(パンパンやしびれ)を感じますが、胎児がその違和感を感じることはありません。

妊婦への影響

高血圧

不快症状は浮腫だけ、しかも時間が経てば解消するのであれば、そこまで心配することはありません。ただし、浮腫にプラスして高血圧やタンパク尿も出ると気をつけなくてはなりません。特に血圧が高く浮腫も出る、この状態は「妊娠高血圧症候群」という病気の可能性が高くなります。

妊娠高血圧症候群とは、少し前まで「妊娠中毒症」と言われていた病気です。妊娠高血圧症候群が重症化すると子癇発作(しかんほっさ※)を起こすリスクも上がり、妊娠中の危険な病気の一つとして注意されています。

※子癇発作…突然意識がなくなり全身に痙攣を起こす症状

子癇発作を起こすと、母体だけでなく胎児の機能不全を引き起こすことから検診では必ず血圧を測ります。浮腫だけであれば、体の不快感はありますが、そこまで心配する必要はありません。しかし、血圧も高くなり始めたら要注意です。

浮腫は体重増加につながるの?

体重計に乗る女性

めぐ先生

結論からいうと、体重増加につながります。しかも、体がむくみ出す前から、体重は少しずつ増えていきます。

見た目でも体のむくみがわかるようになるころには、体重の約5~10%増加しています 。50kgであれば52.5kg~55kg、60kgであれば63kg~66kgまで増えている計算になります。妊娠中は、赤ちゃんや羊水、胎盤などで約7kg~11kgの体重増加がありますね。

浮腫を感じて尚且つ、体重も大幅に増えているのであれば、増えた体重のうち何kgかは浮腫の影響かもしれません。1週間で500g以上体重が増加し、浮腫の症状が辛い場合は一度医師に相談しましょう。

浮腫が悪化する時間帯

妊娠中の浮腫には、悪化する時間帯は特にありません。普通のむくみであれば同じ体勢をとり続けた後に出やすくなるため、夕方~夜といった仕事終わりに悪化しやすくなります。妊娠中は朝起きた時から、昼から、夕方、夜といつでも浮腫は起こります

浮腫で薬を処方してもらえる?

漢方薬

正直、難しいところです。浮腫の他にも何か症状が出ていたり、見た目でもひどい浮腫だとわかれば薬は処方されます 。浮腫だけだと「足を高くしてください、塩分控えてください」で終わることも多いです。

それはなぜか?足を高くしたり、散歩程度の運動をするだけでも浮腫は軽減することがあるからです。妊娠に浮腫はつきもの、お腹の赤ちゃんのことも考えると簡単に副作用の心配がある薬を処方することはできません。

その代わり、薬ではなく利尿作用のある漢方薬を処方する産婦人科もあります 。漢方薬なので、飲んですぐに浮腫が解消されるわけではありませんが、飲み続けることで浮腫の解消に期待できます。

あなたの浮腫レベルは?簡単浮腫チェック

チェック

まずはあなたの浮腫がどの程度のレベルかを確認しましょう。浮腫で見られる症状を挙げていきます。当てはまる項目にチェックを入れてください


何番までチェックが入りましたか?数字が大きくなるほど重症者に見られる症状です。

1~3にのみにチェックが入ったあなた

浮腫予備レベル です。まだ重症化してはいませんが、安心するのは禁物。このまま放っておくと浮腫はひどくなっていきます。

解消法はこちら→

1~3と4~7にもチェックが入ったあなた

浮腫がだいぶ進行しています。体重も増え始めているかもしれません。何かしらの解消法や対策をとりましょう。

解消法はこちら→

8~11にチェックが入ったあなた

浮腫の危険レベルです。むくみだけでなく、血圧も確認してください。血圧が高く、浮腫も強く出ていると「妊娠高血圧症候群」です。母体だけでなく、胎児にも影響を及ぼす妊娠高血圧症候群は重症だと入院し治療を行うこともありますので、早めに産婦人科のかかりつけ医に相談しましょう。

解消法はこちら→

【レベル別】妊娠中の浮腫の簡単解消法

浮腫予備レベルの解消法

今はまだ血液もリンパ液も流れが少し悪くなり、停滞し始めようとしている時期です。今のうちに血液やリンパ液の流れをよくしておきましょう。

血液の流れをよくする

散歩する女性

  • 散歩など軽い運動をする
  • 30分ゆっくりウォーキングをする
  • ふくらはぎの筋肉量を増やすことで、足の血流がよくなります。スーパーまで歩いたり、ショッピングセンターをブラブラ歩くことも運動です。

    温かい飲み物を飲む女性

  • 温かいものを摂り入れる
  • 体が冷えると血流も悪くなります。体を温かくする飲み物や食材を摂り入れてみる。夏に熱いお茶は飲みづらいですね、そんな時は常温のお茶でも大丈夫です。しょうがや根菜、りんごも体を温めます。

    リンパ液の流れをよくする

  • リラックスをする
  • 自律神経が乱れると、リンパの流れも悪くなります。自律神経はストレスに左右されやすいですが、逆に考えるとリラックスすればリンパの流れは改善されていきます。好きなことをする時間を設けたり、体が疲れたな…と感じたら横になる時間を作ってください。

    そけいリンパ節のマッサージ

  • リンパマッサージをする
  • 場所は、足の付け根です。足の付け根には「そけいリンパ節」があり、ここを腰(ウエスト)から足に向かって付け根に沿ってさすります。上から下にリンパ液を流すイメージです。1日5分だけでも効果は期待できます

    浮腫進行レベルの解消法

    だいぶ体の中で水分を溜め込んできています。運動だけでなく食事や体勢、簡単にできるマッサージで解消していきましょう。

    運動

    足裏を合わせてあぐらをする女性

    積極的に運動を取り入れ、血流やリンパの流れを良くしましょう

  • テレビを見ながら15分その場で足踏みをする(滑らないよう注意してください)
  • どこかに掴まりながら歯磨き中だけ、ゆっくりかかとの上げ下げ運動をする
  • 散歩やゆっくりウォーキングを30分~1時間する
  • ストレッチ運動を入浴後に行う
  • →足の裏を合わせ、左右の膝を床につけるよう股を開いて座る。背筋を伸ばし、開いた膝をそれぞれの床につけるように優しく押す。

    体勢・姿勢

    ソファーで横になる女性

    同じ体勢が続くことは避けましょう。椅子にずっと座っていることも足に水分が溜まり、むくみの原因になります。たまにあぐらをかいてみたり、ソファの上で足を伸ばしてみたりしましょう。

    夕方~夜にかけて浮腫が出るときは、昼間にちょっと横になると足の水分が流れやすくなり、夕方がラクになります。30分だけ昼寝やゴロンとしてください。

    足を高くすることも効果はありますが、上げ過ぎは禁物です。5~10センチ足を上げるだけも十分効果を期待できますので、足首の下に薄いクッションや丸めたひざ掛けを入れて何かに寄りかかるのもいいですね。

    食事

    バランスのいい食事

    バランスのいい食事を心がけましょう。妊娠後期に入ると胃も圧迫され、そんなにたくさんの量は食べられません。薄味を意識して体によさそうだな、と思うものを食べてください。もちろん、好きなものも量を加減して食べても大丈夫です。

    マッサージ

    膝の裏

    足の甲や足首、ふくらはぎを下から上にマッサージします。その際、必ずマッサージしてほしい箇所があります。それは膝の裏。膝の裏にはリンパ節があります

    ここをマッサージすると、ちょっとゴリゴリっとしたものを感じませんか?それが溜まってしまった老廃物です。足の甲~膝の裏より少しだけ上まで、押し流すようにマッサージしてください

    浮腫危険レベルの解消法

    自分で解消法や対策をする前に、まずはかかりつけ医に相談し治療を始めましょう。自分で判断せず、かかりつけ医のアドバイスを受けてください。

    症状が浮腫だけの場合は、利尿薬といった薬や漢方薬が処方されることが多いですが、浮腫の他に高血圧も加わると入院や点滴治療を行うこともあります。ここでは、医師の治療やアドバイスのもと、浮腫解消に役立つ簡単な解消法をあげていきます。

    ツボ

    湧泉のツボ

    足裏の土踏まずの少し上に「湧泉(ゆうせん)」と呼ばれるツボがあります。このツボは冷えが原因で引き起こすむくみに期待ができます。足先が冷たい時は試してください。

    食事

    塩分控えめに

    水分の摂取を制限するよりも、塩分を制限するよう心掛けてください。妊娠中は赤ちゃんのためにも、1日1.5~2リットルの水分が必要です。制限するのは水分ではなく、塩分です。少しの間だけ薄味にしてみましょう。

    半身浴

    半身浴をする女性

    リラックス効果や体を温めて血流を促すために、ゆっくり半身浴をしてもいいですね。湯船の温度は38~39℃に設定し、15分程度浸かりましょう。半身浴の前後は必ずコップ1杯の水分を摂ってください。体調の悪いときやお腹の赤ちゃんが活発に動いているときは避けてください。

    まとめ

    • 妊娠中の浮腫とただのむくみは原因が違う
    • 妊娠後期は浮腫がでやすい
    • 浮腫のみであれば、胎児の成長に影響はない
    • 浮腫に高血圧が加わると、妊娠高血圧症候群の可能性もあり要注意
    • 浮腫は体重増加につながってしまう
    • 軽い浮腫から重症の浮腫まで、レベルに合った方法で解消する

    妊娠後期はどうしても浮腫が起こりやすくなります。仕方がないことだとわかっていても、やはり気になるのが浮腫です。浮腫だけでは胎児の成長には影響を及ぼしませんが、パンパンにむくんだ足やしびれは気になります。

    今回はあなたの浮腫がどの程度のレベルかわかるチェック法も挙げてみました。自分の浮腫のレベルに合った解消法で、まずはむくみをとっていってください。それでも悪化したり、日常生活に支障をきたす際は、掛かりつけの医師に相談しましょう。

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